Mrs.J ミナミ (ミセスジェイ)
東心斎橋 熟女キャバクラ
大阪府大阪市中央区東心斎橋2丁目3番17号 パピヨンビル 3F
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第7話 あの夜
2026年10月12日 09時15分

父の死に目に会えなかった私が、
お通夜で遭遇した不思議な現象。
あの夜に見た光景は、
今も鮮明に覚えている。
夜も更け、
参列者の姿は少なくなり、
祭壇の灯りだけが静かな部屋を照らしていた。
あの夜、
私は母と二人で父の棺の前にいた。
「明日になったら、
もうお父さんには会えなくなるから。
顔を見ておきなさい。」
夫を亡くしたばかりとは思えないほど、
母の声は落ち着いていた。
(明日になればお父さんの体が燃やされる。
もう二度と会えない)
私は、
そう信じていた。
棺の蓋には、
取っ手付きの小さな窓が付いており、
手前に引くと、
故人の顔を拝める作りになっていた。
窓を開けると、
暗かった棺の中へ祭壇の灯りが差し込む。
浮かび上がった父の顔。
幼い私にはひどく不気味に見えた。
その時だけは、
昨日までの思い出も、
父のぬくもりも、
どこかへ消えてしまった。
母は私に声をかけると、
静かに部屋を出ていった。
気づけば、
広い部屋には私一人。
静まり返った空気だけが流れていた。
その時。
父の顔のあたりから、
白いものがゆっくりと浮かび上がった。
まるで、
たばこの煙を凝縮させたような白い塊のようにも見えた。
私は驚いたものの、
不思議と恐怖感はなかった。
白いものは静かに浮かび上がり、
ゆっくりと棺の上を漂っていたかと思いきや、
急に向きを変え、
縁側の方へと流れていった。
やがて、
その姿は何事もなかったかのように、
闇へ溶けていった。
意志をもって動いているようにも見えた、
白いもの。
(あれは何だったのだろう)
私はしばらくの間、
その場から動けなかった。
翌朝、
父は静かに旅立った。
霊柩車がゆっくりと家を離れていく。
母も、
兄も、
姉も乗っている。
私は、
親戚と一緒に見送ることしかできなかった。
「どうして私は乗れないの?」
叔母さんにそう尋ねると、
「人数が決まっているからね。」
と教えられた。
霊柩車が少しずつ小さくなっていく。
私だけ、
取り残されたような気がした。
何年も経ってから、
私は母にあの夜の話をした。
お通夜の日に見た「白いもの」のこと。
母は静かに聞き終えると、
小さくうなずいた。
「お父さんが会いに来てくれたのかもしれないね。」
そう言った。
不思議な現象を見たのは、
私だけ。
(お父さんが、
お別れの挨拶をしてくれたのかもしれない)
私はそんな風に意味づけることで、
白い煙の正体を理解しようとしていた。
なぜ、
9歳の時に体験した出来事が、
忘れられない記憶になったのか。
答えは、
その後に待ち受ける私の人生にある。
「実録 私の可能性」
つづく

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