THE TERRACE (ザ・テラス)
戸田 ガールズバー
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短編小説「島派」
2026年07月26日 21時43分
「この船の中の景色ね、よく夢に出てくるんだ」
急な金属製の階段を上りながら彼女はそう言った。
次のセリフを想像して僕はすこしどぎまぎしてしまった。
僕の夢によく出てくるのは他でもない彼女だったからだ。
もし「普段どんな夢をみる?」なんて聞かれたらどう答えたらいいのだろう。
しかしそんなことを考えているのは僕だけで、彼女は鼻歌混じりに甲板を駆けていく。
柵に掴まって潮風を浴びながらんーっと伸びをする彼女の背中に僕も駆け寄る。
「あー、今日はそんなに揺れないといいなあ!!」
ガガガガ、というエンジン音と風の音に邪魔されながらも彼女の楽しそうな声が僕の耳に届く。
彼女が子供の頃から何度か遊びに行っていたという小さい島の影が薄らぼんやりと水平線に浮かんでいる。
「夏なんだから海も山も楽しみたい。私は島派だから」なんて言って彼女が計画してくれた旅程は僕の胸を踊らせた。
「ねえ着いたら自転車借りにいこう!すぐ一周できちゃうんだよ!!」
そうだね、と答えながら今年の4月から自転車の二人乗りに罰金が課せられることになったことを思い出す。
きっとこれも僕一人だけ考えているんだろう。
いつも彼女は野うさぎのように
空中を舞うあざみのタネのように
桜の花びらのように掴まえることができない。
そのくせ今まさに浴びている波飛沫のように僕の全身にまとわりついてくる。
ふと考えた。船の中の景色が夢に出てくるほどに何度も島に通っていた彼女の目的はなんだったのだろう。
彼女のSNSに何枚か載っていた帰りの船出の見送りの軍団の写真を思い出す。
毎回写っているいつも必ず一番大きな旗を振っている背の高い男の姿。
今も島にいるのだろうか。
いたから何だというのだろう。
少し塩辛い飛沫と固唾を一緒に飲み込んでそんな思いを振り払う。
「一人で考えこんで黙りこくるのは悪い癖だよ」と言われたっけな。
「着いてすぐのレストランに浜焼きがあるから行こうね」
彼女にそう言われて僕はもう全部大丈夫だと思った。
覚えててくれたんだ。僕の夏の目標を。
みんなといる時に何気なくこぼしただけだったのに。
島は彼女のかもしれない。もしかしたらそうかもしれない。
彼女は僕のじゃないかもしれない。
それでもいいと思った初心を思い出した。
一緒にいるのが嬉しくて仕方なかった。それだけでよかったじゃないか。
これからも変わらないことを祈っている。
彼女の背中越しの島影にこっそりと祈った。
僕もこれからこの船からの景色が夢に出てくるかもしれないと思った。
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砂浜をコンセプトにした
ガールズバー
🏄THE TERRACE 🌊
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埼玉県戸田市新曽187-2
丸伊ビル2F
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プロフィール
名前:𝒟𝒪𝒦𝒰 [30才]
肩書き:一生忘れられない歌声
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出身地:東京都
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